「真価は来年以降」 恩師・広岡達朗氏が語るホークス工藤監督
コーチ経験がないまま監督になり、1年目から優勝した。周りは「すごい」と言うかも知れんけど、そこで満足をしてもらいたくないですね。本来なら、コーチになって「教える」ということをしっかり勉強してから、監督になるという順序があると思っていますから。
■名将の資質ある
その点で言えば、工藤は今後、さらに上のレベルの野球ができるはずなんです。それには人を育てることです。これ、と見込んだ選手がいれば、3年かけてでも育て上げること。私は良い選手を預かった以上は、10年間はレギュラーでやってほしいという気持ちでやっていた。彼が育てた選手が中心となって勝つことができれば、大した監督になりますよ。もっといえば、名監督といわれるようになるには10年やったら5回は勝たせないと。
監督という仕事はね、チームを勝たせる義務がある。ここに打て、ここにバントしなさいと指導する義務もある。うまくやれば褒めればいい。失敗したら「また勉強しよう。一生懸命教えるからな」ともり立ててやればいい。間違ったと思えば、ちゃんと「間違った」と言えばいいんです。今は基本をしっかり教えられる指導者が少ないですから。日本にそういうことができる監督が欲しい。工藤は人間がしっかりしているし、そういう監督になってくれたらと思っています。
(広岡達朗/野球評論家)