日本人プロは見習いたい A・スコットが生む観客との一体感
【日本オープン】
その瞬間、大勢のギャラリーから「オッー」と驚嘆の声が上がり、周囲に響いた。
8番パー4(366ヤード)。アダム・スコット(35、オーストラリア)がこの打ち下ろしの右ドッグレッグのティーイングランドで、おもむろにキャディーバッグからドライバーを引き抜いて、1オンを狙ったからだ。
打球は右の林を越えてグリーン左エッジをとらえた。ピンまで24メートルの距離をパターで手前50センチに寄せて、楽々バーディー。大歓声が上がった。実は、プロアマ戦の際、研修生にこのホールの攻め方を聞き、グリーン上からワンオンを狙えるか確認していたのだ。
「その時点で首位と5打差あったので、バーディーを決めなければならないと思った。良いショットを打てれば、バーディーあるいはイーグルチャンスにつけることができる。まだ36ホールあるので大丈夫。あと少しで本調子になると思うので差を縮めていきたい」(スコット)
スコットは前週、プレジデンツ杯(韓国)に出場し、12日(月)に来日。その足で都内のスポンサーに挨拶と、慌ただしいスケジュールをこなした。さらに、来年から長尺パターを体につけるアンカーリングがルールで規制されるため、今年8月から練習を開始したという35インチのパターを試合で使用している。それでも「疲れている」などと不満は一言も漏らさず、プレーでギャラリーを楽しませているのだ。