<第1回>「ノリオは何やってんの?」と選手からブーイング
なでしこジャパンのユニホーム左胸の日の丸とサッカー協会エンブレムとの間に「☆」マークが入っている。11年ドイツW杯を制して世界女王に輝いた証しである。その後12年ロンドン五輪銀メダル、15年カナダW杯準優勝と世界トップに君臨したなでしこが、リオ五輪アジア最終予選で大苦戦している。なでしこはなぜここまで急速に枯れ果て、無残にも散ろうとしているのか――。
今アジア予選初戦のオーストラリア戦(2月29日)を1-3で落とした翌日、なでしこは大阪府堺市でトレーニングを行った。選手たちはカラ元気とはいえ、笑みを浮かべながら練習メニューをこなした。しかし、佐々木則夫監督(57)は、選手たちのいる場所から離れたところにたたずみ、ずっと渋面を浮かべていた。
「佐々木監督は監督然として偉ぶるタイプではなく、オヤジギャグを交えながら選手たちとの距離感を縮め、11年ドイツW杯の頃まではフレンドリーな関係性を保ち、これがチーム力のアップにプラスに作用していた。ところが、ロンドン五輪の前には、指揮官と選手との間に広くて深いミゾができてしまい、それから悪化の一途をたどっていった」(サッカージャーナリスト)