積極走塁で巨人粉砕 金本阪神8点快勝の裏に周到準備
金本監督はその準備に抜かりがなかった。昨秋から“敏腕スコアラー”を巨人に再配置した。13年、14年に巨人を担当し、昨年はチーム付だった太田スコアラーだ。対巨人の成績は、13年は11勝12敗1分け、14年は11勝13敗と勝ち越しはできなかったとはいえ、ほぼ互角に戦った。
昨秋キャンプから巨人を密着マークしていたというから、これは異例だ。13年7月、新人ながら勝ち星を重ねる巨人の菅野に対して阪神は足で揺さぶり、3盗塁を決めた。初めて盗塁を許した菅野や巨人サイドをクセを盗まれているのではないか、と疑心暗鬼にさせた。その太田スコアラーが巨人担当として復帰したのは、巨人にとって少なからず心理面に影響を与えたはずだ。
この日、先発して8回2失点で今季2勝目を挙げた藤浪のローテも、巨人を意識したもの。開幕投手はメッセンジャーに任せ、6連戦の頭となる火曜日を藤浪に託した。阪神の3~4月の日程を見ると、火曜日からの3連戦で巨人との試合が2カード組まれている(昨季優勝のヤクルトも2カード)。藤浪は昨季、対巨人戦で2勝4敗ながら防御率は2.48と安定していた(一方のメッセは同じく2勝4敗で防御率は3.57)。月曜日の移動日を合わせてリリーフ陣を休ませるためにも、スタミナ抜群で長いイニングが投げられる藤浪が6連戦の頭に投げることは理にかなっている。
たかが1勝、されど1勝。今年の阪神は一味違うと、巨人ベンチをアタフタさせたことは間違いない。