五輪ドーピング問題 WADAとIOCの“喧嘩”で日本とばっちり
昨年、ロシア陸連による組織的ドーピングが明らかになった際、WADAから各国の反ドーピング機関に対して、こんな通達が出されたという。
■吉田沙保里は初の採血
WADAでは五輪会期中のドーピング違反による失格を防ぐため、ロンドン五輪から開幕前の検査を徹底。14年のソチ五輪では、世界選手権やW杯などの主要国際大会で実績のある多数の選手が出場資格を剥奪された。
「WADAは困難な調査により、ロシアの国家ぐるみの薬物使用や隠蔽工作を暴きながら、IOCがロシア側に甘い裁定を出した。これまで以上にドーピング検査を厳しく行うことで、世界に自分たちの存在意義をアピールするはずだ」と、ある競技団体の関係者は見ている。
実際、リオで4連覇がかかる吉田沙保里(33)ら女子レスリングの選手4人は24日早朝に、日本反ドーピング機関(JADA)の検査官による「枠外」といわれる抜き打ち検査を受けたばかりだ。吉田は通常の尿検査に加えて、過去3度の五輪前にはなかった採血まで行われたという。今後は開幕までに、五輪でメダル取りが濃厚とみられている世界のトップアスリートが、同じような抜き打ち検査を受けるだろう。