日本実業団陸上競技連合 西川晃一郎会長インタビュー<中>
■経営者の視点
――しかし会長、銅メダルのラップは、オレゴンのナイキプロジェクトというレベルの高いプロ集団に所属し、ソフトもハードも万全な環境の中、元マラソン選手のサラザールの指導のもと、日々緻密な練習をしています。例えば、陸連の長距離・マラソン強化戦略プロジェクトの瀬古(利彦)リーダーが、30人の有望選手を年間に6カ月、または、メダルを取るため五輪の選考レースまでナショナルチームに選手を預けてくださいと大胆な要求をしてきたら経営者は認めますか。
「現時点では強化策や方針が具体的にどうなるかわかりませんが、経営者の立場からすれば、自分たちの社員や契約社員が、国民が皆でおもてなししようとする五輪のために、協力しようということにNOと言う者がいるとは思いません。実業団連合の各会長ともお話ししますし、私も経営の場にいる、ないしはいた者としてそんなに違和感はないですね。選手の長期派遣がその企業の業績に影響を与えるとはとても思いません。逆に、自分の企業の選手が五輪で頑張ってくれれば社会貢献活動として、ステークホルダー(利害関係者)であるお客さまにも、株主さまにも胸を張って言えることです。自分のところにリターンがないと困りますが、経営者の視点では、例えば、代表候補の有力選手を数カ月派遣して欲しいということになった時、賛同しないとは考えにくいです」(つづく)