プロ初のサヨナラ弾 原口は「阪神4番」が秒読み段階へ
「打った瞬間、自分の中でも完璧で最高でした。うれしいです」
初回の4点を追いつかれた阪神は延長十一回、5番の原口がヤクルト6番手・杉浦の142キロの速球を左翼席へ打ち込み、試合を決めた。
金本監督は、プロ初のサヨナラ弾を放ったヒーローがダイヤモンドを一周して戻ってくるとベンチ前で抱き合って喜んだ。「さすがにホームランは期待していなかった。何とかツーベースを打ってくれないかと思って送り出した」といって笑顔を見せた指揮官。原口に対する期待は大きい。
キャンプでは捕手の練習をさせていたが、右肩に不安があるためフルシーズン、マスクをかぶるのは無理と判断。3月に入るやいなや一塁に転向させた。「それだけではない」と、あるOBがこう続ける。
「金本監督は昨年、貧打に泣いた。長打力のある原口は、早くから開幕一軍と決めていた。しかも4番で起用するつもりだった。しかし、阪神の4番にかかる重圧は誰より知っている。金本監督自身も、広島からFA移籍してきた1年目は断ったほどです。そこで、当初はベテランの福留に4番を打たせ、時機が来たら原口と入れ替える構想を持っている。既に3本塁打の糸井もパワーはあるが、甲子園は右翼から左翼へ浜風が吹くので、ホームランを打つならやっぱり右打者の方が有利。4番の一発はチームを盛り上げるし、スタンドも沸く。金本監督も2年目はBクラスというわけにはいかない。今月中にも原口の4番はあるんじゃないか」
阪神は今季初の連勝で、7日からは甲子園で巨人を迎え撃つ。原口のアーチで巨人を叩けば金本監督の構想は「前倒し」になるか。