広島1位中村 丸刈り頭が示す「トリプルスリー」の可能性
高校野球を引退したというのに、青々とした丸刈り頭。ここに覚悟が見て取れる。
今夏の甲子園で史上最多の6本塁打を放った捕手の中村奨成(18=広陵)は、中日との競合の末、相思相愛といわれた地元の広島が交渉権を獲得。「内心、とってくれると思っていた。ニヤけたかったけど、満足していると思われてもいけない」と、控えめに喜んだ。早々に1位指名を表明していた松田オーナーも「ホッとした。(競合した)中日には控室で『何をするんや』と言ったんだ(笑い)」と安堵していた。
広島は、正捕手の会沢(29)、大ベテランの石原(38)、さらに昨年ドラフト4位の坂倉(19=日大三)が攻守で高い評価を得るなど捕手層が厚い。球団は強肩強打で足もある中村を内野にコンバートするプランも温めているようだが、本人は「捕手一筋でやってきた。プロに入っても何としてでも捕手でやりたい」とキッパリ。「新人王をとりたい。トリプルスリーを狙いたい」と口にした。
幼少期に両親が離婚。女手ひとつで育った中村は、母・啓子さんについて「早く一軍に上がって、一流の選手になることが最高の恩返し」と決意を新たにした。プロで活躍して金を稼いでナンボという気持ちが人一倍強い。同期の清宮に対して「自分が先に目立ちたい」とライバル心を隠さない。広島は12球団屈指の練習量を誇るが、「一番厳しく指導してくれる球団に選んでもらった」と歓迎。泥まみれで練習する覚悟を決めている。
9月のU18では木製バットの対応に苦慮。打率.080と散々な結果になったことが相当悔しかったようで、高校最後の試合となった国体後も毎日のように、1日500スイング以上を振り込んでいるという。トリプルスリーも決して夢じゃないだろう。