専門家解説 箱根で駒大選手を襲った「ぬけぬけ病」の恐怖
「これ、どんな病気?」と思った人もいるだろう。3日開催された第94回箱根駅伝(復路)で駒沢大学のエース・工藤有生(なおき)(4年)が前半途中からフラフラの走りになった。上体が大きく揺れて道路を蛇行。左太ももを手で4回叩いたのが印象的だった。7区を完走してタスキはつなげたが、名門・駒大は12位に終わり、来年のシード権を逃した。
この工藤の不調ぶりを「ぬけぬけ病」と指摘したのが日大陸上部出身で、箱根駅伝出場経験を持つ俳優の和田正人(38)。ツイッターに〈駒沢大7区工藤選手の異変。20年くらい前から、突如として長距離界に蔓延し始めた、片脚の力が抜ける例のヤツかもしれない〉〈長距離界では「ぬけぬけ病」などと呼ばれている〉と書き込んだため、波紋が広がった。
“ぬけぬけ病”とはどんな病気なのか。
「かなり前から陸上選手の間に広がっている症状。原因不明です」と解説するのは、「からだドック」(福岡市)代表で理学療法士の西山祐二朗氏だ。
「今回の工藤選手のように上半身と下半身に連動性がなくなり、上体が左右にブレてしまうのです。足が地面についていないようなフワフワ浮いた感覚になります。症状は人によって違い、左足にケガをした時、左足をかばって右足に体重を掛けて走った結果、右足にフワフワ感が起きる人も。一定の運動を繰り返す人に起きる周期性ジストニアとも考えられ、ピアニストやギタリストの指が適切なタイミングで動かなくなることもあります」