過剰期待で酷使の恐れも…羽生結弦に2大会連続金の“反動”
実際、スケート界に及ぼす羽生の“経済効果”は絶大。前回ソチの優勝で、国内のスケート人口は10年前の約2000人から5000人まで増えた。羽生不在は、GPシリーズの観客動員数、テレビ視聴率にも影響するのは必至。入場料収入、放映権料の下落を招きかねないだけに、ISU、JSFとも羽生にスケート靴を脱がせるわけにはいかないのだ。
JSFは浅田効果で大いに潤った。浅田の全盛期には主要大会の放映権料は軒並み上昇。ソチ五輪プレシーズンの12―13年には約2億円にまで跳ね上がり、13年のJSFの内部留保は約13億6000万円に達したという。
その浅田の次の「金のなる木」としてJSFが酷使してきたのが羽生だ。14年のGPシリーズ中国杯の公式練習中に、地元選手と衝突して大ケガを負った際も、JSFの管理不足が批判された。
前年のシーズンオフの数カ月間で、羽生は全国各地のアイスショーに駆り出された。あまりのハードスケジュールに、コーチのブライアン・オーサー氏が予定したトレーニングメニューをこなせないまま、シーズン開幕を迎えた。調整不足から集中力を欠き、中国杯公式練習中の事故につながったとみる関係者は少なくない。