平昌の熱狂で加速 東京五輪「メダル量産」ムードへの不安
スポーツライターの工藤健策氏は「マスコミの五輪報道にあおられず、国民はもっと冷静な目を持つべきです」と、警鐘を鳴らす。
「東京招致の際に使われた大震災からの復興五輪や経費を抑えるコンパクト五輪の看板はどこかに行ってしまったのに、国民から疑問の声はあまり聞かれません。五輪の金に関しては、ソチ五輪でメダルなしに終わったスピードスケートは、連盟がオランダ人コーチを呼び、300日以上の合宿でメダルにつなげた。13個のメダルは、東京五輪の開催が決まり、冬季競技の強化費も増額されたことが大きい。夏季五輪は競技種目が多い。強化費はいくらあっても足りないでしょうが、東京五輪の開催期間は約2週間です。その間に30個以上の金メダルを取るため施設や選手強化などに、それこそ兆単位の金がかかる」
さらに工藤氏が言う。
「スポーツ、運動に関する金の使い道でいえば、全国の学校の運動用具が古いとか、体育館が狭いという身近な問題がある。今の日本は五輪のメダルを国威発揚にするほど後進国ではない。『金メダルのためなら、いくら税金を使ってもいいですよ』というような、あしきムードは断ち切るべきです」