スタミナに加えスピード磨く 服部勇馬「福岡国際」Vの価値
注目された福岡国際マラソンは、箱根駅伝で活躍した服部勇馬が優勝した。日本歴代8位相当の2時間7分27秒、伝統の舞台での日本選手の優勝は14年ぶりだった。2月の東京で16年ぶりに日本記録を更新した設楽悠太、4月のボストンで31年ぶりに日本人優勝を遂げた川内優輝ら、今回は日本勢中心の大会だったのだから優勝はさておき、日本陸連・瀬古利彦マラソンリーダーら関係者の表情が緩んだことにはワケがある。
タイムは大迫傑の日本記録(2時間5分50秒)には劣ったが、中身だ。アフリカ勢と睨み合いつつ35キロで抜け出し、そこから3キロの各1キロを2分50秒台に上げ、40キロまで5キロ=14分40秒でトップに立った。東京の設楽は15分11秒、シカゴの大迫は14分43秒だ。
「7月の合宿で井上大仁さんたちの練習を見て自分は甘いと感じ、スピードで追い込まず走り込みを増やした。1キロ=3分を意識しながら出来るだけ長く走り、同じ意識でジョグも増やした」
スピードマラソンという言葉は“人間機関車”エミール・ザトペックが暴れ回った1952年のヘルシンキ・オリンピックから言われてきたこと。日本が、持久力とスピードの二律背反と悪戦苦闘しながらも、宗兄弟―瀬古―中山竹通とつないで世界の座を維持したのは、圧倒的な走り込みによるスタミナのうえにスピードを磨くトレーニングを積んだからだ。それが、90年代からのケニア参入で旗色が変わった。