矢野阪神に“ドーピング的”好順位では課題解決にはならない
なにしろ、昨年は最下位のチームなのだ。関西メディアはやれ優勝だとか、そういう昔ながらのテンプレ的な怪気炎をあげるかもしれないが、現実はすぐに優勝できるようなチーム力ではないだろう。たとえ西勇輝やガルシアといった外様の新戦力が爆発的に機能して今季の優勝争いに食い込んだとしても、それはドーピングみたいなものであって、抜本的な課題解決にはならない。かつて福留孝介や糸井嘉男を獲得したときもそうだったが、彼らが活躍できるうちに新しい投打の屋台骨を誕生させる、その本質はブレないでほしい。
■阪神選手の選出ゼロという現実
昨年末、テレビ朝日系で放送された「中居正広のプロ野球魂」という番組の中で、「俺の侍ジャパン」という企画が実施されていた。これは石川雅規、内川聖一、秋山翔吾の現役3選手に中居正広を加えた4人が、それぞれ理想とする架空の侍ジャパンを形成すべく、ドラフト形式で現役選手を指名していくという試みだが、これにおいて阪神の選手だけが一人も指名されなかった。
1チームにつき野手9人と投手1人の計10人、それが4チームも誕生した(計40人も指名された)にもかかわらず、である。もちろん、他の11球団からは最低1人は選出されており、昨年、パ・リーグ最下位の楽天からも浅村栄斗、岸孝之、茂木栄五郎、田中和基、銀次の5人が指名されていた。
私が今の阪神に突きつけたいのは、この現実である。ドーピング的に成し得た好順位よりも、虎の柳田悠岐や筒香嘉智、鈴木誠也が見たいのだ。