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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

ミスタータイガース掛布が阪神の監督にならなくて良かった

公開日: 更新日:

 これでもう掛布雅之監督の目はなくなった。阪神の新監督に矢野燿大が就任したことで、私はそんなことを考えた。

 かつて一世を風靡した背番号31のミスタータイガースも、33歳という若さで引退して以降、早いもので30年が経過した。その間、いつかの阪神監督を常に期待されながらも、いろいろあって実現には至らなかった。

 現在63歳。監督の契約年数はあってないようなものだが、仮に矢野監督の任期が3年で終わったとしても(阪神にとって良くないが)、そのころの掛布(敬称略)は60代後半。さすがに新米監督として一からスタートするには遅すぎる。現実的に考えて、いつかの「掛布監督」というオールド阪神ファンの夢はついえたと言っていいだろう。

 確かに寂しい話ではある。「名選手、名監督にあらず」といった球界の定説については理解しているつもりだが、それでも掛布監督を一度は拝んでみたいと願う虎党の気持ちを私は否定できない。

 しかし、その一方で私の中にこれまでになかった新しい気持ちも芽生えてきた。掛布監督の目がなくなったことで、ミスタータイガースは新しい境地に進めるのではないか。これはこれで良かったのではないか、と。

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