著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

今季は野手に専念 大谷「一刀流」のロマンを味わいたい

公開日: 更新日:

 中でも特筆すべきは本塁打数だろう。これまで渡米した日本人スラッガーは、どれだけNPBでは長距離砲で売っていたとしても、先述の松井を筆頭にみんなMLBでは中距離砲にまとまってしまった。しかし、大谷の昨季は114試合に出場し、367打席で22本のホームランを放った。これは日本ハム時代も含めて過去最多タイの記録だが、MLBの球場の広さなど、環境面での違いをもろもろ考慮すると、MLBでの大谷はNPB時代よりも長距離砲としてスケールアップしたと考えられる。いずれにせよ、こんな日本人スラッガーは前代未聞だろう。現在24歳の大谷はまだまだ発展途上だ。

 そう考えると、二刀流というのはつくづく悩ましい問題だ。なまじ二刀流の才能があるばっかりに、大谷は規定投球回数にも規定打席数にも到達できなくなっている。投手としてMLB流の中4日でフル回転して200回以上のイニング数を投げ、さらに野手としてもフル出場して600以上の打席数をこなすなら話は別だが、それはさすがに厳しいから、現実の二刀流は投打どちらも中途半端な出場数になってしまう。ならば、野手一本に専念して600回以上の打席に立つ大谷を一度は見てみたい。そっちのほうが夢を感じる。

 しかし、これはあくまで「記録を楽しむ」という話であって、それが野球のすべてではない。大谷に記録なんてちっぽけな尺度は似合わない、記録に残らなくとも映像が残る時代なのだから、記録は気にせず二刀流のロマンを味わいたい、という見方もあるだろう。本当に難しい話だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動