史上最弱横綱・稀勢の里 引退した途端“英雄扱い”の違和感
「稀勢の里が横綱として短命に終わり、晩節を汚す結果になってしまった原因はスポーツマスコミにもあると思う」
好角家の人事コンサルタント、菅野宏三氏がこう言って続ける。
「稀勢の里は『2場所連続優勝、あるいはそれに準じる成績』という昇進基準を満たさずに横綱になった。結果的にこれが稀勢の里を苦しめることになったわけです。大関で精進を重ね、本当の力をつけてから昇進していれば、こんな不幸なことにならなかったと思う。長く不在だった和製横綱の誕生を待望する相撲協会や横綱審議委員会によって『つくられた横綱』という背景を、スポーツマスコミは批判せず、一緒になって盛り上げた。力士寿命を縮めることになった17年春場所での大ケガも、負傷を押して土俵に上がることに警鐘を鳴らさず、むしろ美談に仕立てて報道しました。メディアに必要なのはお涙ちょうだいではなく批判的視点です。稀勢の里の引退を惜しむだけではなく、なぜこうなってしまったのか、厳しく指摘する必要があります」
まったくだ。そうでなければいずれ、「史上最弱横綱」の汚名を着る稀勢の里のような“被害者”がまた出る。