世陸金の鈴木が悲鳴…五輪競歩「19時開始」を陸連顧問提言

公開日: 更新日:

 願いは届くのか。

 陸上世界選手権(ドーハ)で金メダルを獲得した男子50キロ競歩の鈴木雄介(31)と山西利和(23)が都内で会見した。

 鈴木のレースは、現地午後11時30分スタート。それでも気温は30度を超え、湿度も80%以上。46人中、途中棄権が14人も出たことから「こんな条件で競技をやるのは無理だ」と、選手や指導者たちから批判の声が上がっていた。

 鈴木も「競技人生の中で最も過酷なレースだった」と語り、「まだ内臓疲労が取り切れていない」と言った。20キロ覇者の山西も「体へのダメージが大きい。特に内臓に深刻なダメージを負っている」と漏らした。鈴木が競技を終えたのは先月29日午前。山西は今月5日だ。それでもこのありさまだ。レースをテレビ観戦していた元陸連専務理事の帖佐寛章氏(現顧問)は、東京五輪の競歩についてこう提言する。

■日差しがなければ…

「帰国した鈴木とは電話で話した。しっかり充電して内臓の検査をしなさいと言った。過酷なレースだったことはテレビでも十分にわかった。50キロの終盤5キロぐらいはスポーツと呼べるものではない。近日中に鈴木と今村(文男)五輪強化コーチに詳しく話を聞いてみるつもりだ。東京五輪の50キロ競歩は皇居前の2キロの周回コースを25周(20キロは1キロ周回)する。鈴木と山西はこの日、揃って『日差しを遮って欲しい』と口を揃えた。男子50キロ(8月8日)のスタートは早朝5時30分だ。全員がゴールするまでは4時間を超える。その頃は気温も30度以上で日差しもある。鈴木は8月の北海道合宿でコース変更を求めたが、おそらくかなわないだろう。競技審判や運営スタッフ、ボランティアや観客のことを考えれば、スタート時間をこれ以上繰り上げるのは無理だ。ならば、日が落ちた午後7時にスタートすればいい。湿度が高くても、日差しがないだけでかなり楽になる。観客も同じだ。ナイターレースは周囲が暗いので警備上の問題はあろうが、選手の体が第一だ。午後7時開始なら、マイナーで人気がないと言われる競歩のテレビ中継を見る人も増えるはずだ」

 そもそも、「命に危険が及ぶ暑さ」が続く真夏の東京で、オリンピックを開催すること自体に無理がある。選手の身を守るためにできることは可能な限り行うべきだ。

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