柔道女子・阿部詩 負けるたびに強くなる「努力する天才」
5歳から阿部兄妹を見てきた兵庫少年こだま会の高田幸博監督(56)もこう話す。
「詩は努力型というより天才型ですが、兄という一番良いお手本を見ながら真似できたという意味で天才なんだなと。柔道だけじゃなくボウリングや水泳も、何でもやりたいと思ったら『無理や』と言っても譲らへんのです。5歳でボウリングの球なんて持てませんから、お父さんが付きっきりで見ていました。試合も夜勤のとき以外はいつも来られていましたね」
父の浩二さんは消防士。柔道経験はなく、競泳選手として活躍していた。初めは詩が柔道をやることに反対だったという。
「お父さんもアスリートだったので、メンタル面の盛り上げ方が上手で、失敗や負けを必要以上にとがめない。トレーニング方法も研究されていて、今はユーチューブで動画を見ながら自宅で練習することもあるみたいです。お母さん(愛さん)は喫茶店をやっていたんですが、現在は上京して子供の食生活をサポートしていると聞きました」(高田監督)
19年11月、優勝すれば東京五輪代表内定へ大きく近づくグランドスラム大阪でまさかの敗戦。声を上げ、大粒の涙を流した。