柔道女子・阿部詩 負けるたびに強くなる「努力する天才」
柔道女子52キロ級・阿部詩(19)
「ヤワラちゃん2世」との呼び声も高い。
東京五輪での金メダルに大きな期待がかかっている柔道女子52キロ級の星。兄の一二三(22=日体大)を追って柔道を始め、揃って第一線に駆け上がった。兄妹はたびたび比較され、「兄は努力型」「妹は天才型」といわれてきた。
小学4年から詩を指導してきた夙川学院高の松本純一郎監督(51)はこう振り返る。
「初めの頃は兄ちゃんの方が天才型だと思っていました。兄は相手が大きかろうが、どんどん立ち向かうタイプ。妹は相手がどういう相手なのかじっと観察して戦う計画的なタイプでした。詩は小学生の時、練習を嫌がってお母さんの車から降りてこなかったり、道場の柱にしがみついて動かなかったり。こちらもほったらかしにしていましたが、本人は徐々に『どういう練習態度の人が試合に勝って、どういう人が負けるんだろう』と観察するようになって、それから変わりました。今は技のキレやレパートリー、試合の組み立て方を見ても、詩の方にセンスを感じますね。それでも正直、あれくらいの天才はいっぱいいる。でも、詩は『努力する天才』です」