新型肺炎で各大会中止…春季キャンプ&東京マラどうなる?
いったいどこまで広がるのか。新型のコロナウイルスによる肺炎患者は増加の一途だ。ウイルス発生源の中国・湖北省武漢市の病院は連日パニック状態。中国ではすでに100人以上の患者が死亡しており、その数も正確かどうかは疑わしい。感染者も右肩上がりで増え続けている。
28日には、中国・武漢市への渡航歴がない奈良県に住む日本人男性がウイルスに感染していることが確認された。日本国内でもマスクが飛ぶように売れている。
■中国はイベント禁止
新型コロナウイルスの恐怖は、すでにスポーツ界をも直撃している。東京五輪関連では、女子サッカーのアジア最終予選(2月3~9日)B組の開催地が武漢から南京に変わったが、中国サッカー協会は感染拡大の現状を懸念し開催権を返上。シドニーに変更された。
女子バスケの予選(2月6~9日)も中国・佛山からベオグラード(セルビア)に移り、ボクシングのアジア・オセアニア予選(3月3~11日)は武漢からアンマン(ヨルダン)になった。中国の上海や北京では、大勢の人々が集まるイベントが続々中止になっている。日本国内でも今後、多くの感染者が出ないとも限らないのだ。
■ファンとの距離が近い
ならば、2月1日から沖縄、宮崎でスタートするプロ野球春季キャンプは大丈夫か。キャンプは公式戦とは違い選手と観客の距離が近い。休日ともなると数千人単位のファンが球場を訪れるため、選手はサインを書いたり記念撮影をしたり、接触する機会が多くなる。
ウイルス感染については2018年、巨人でインフルエンザが流行。選手、コーチの4人が罹患したことで、沖縄で行われていたキャンプを一日前倒しして打ち切った例もある。
選手、スタッフのウイルス対策について複数の球団に問い合わせると、「手洗い、うがいの励行、移動中のマスクの着用」を挙げる球団が多かった。中日は29日、選手、スタッフ約100人がマスクを着用して沖縄入り。除菌力が高いといわれるオゾンの空気清浄機を球場内に設置した。とはいえ、「ウイルスは目に見えるものではなく、やれることは限られている。いざとなったら防ぎようがない」(セ球団トレーナー)というのが現実のようだ。
では、観客向けの対策はどうか。注目を集めるロッテ・佐々木朗希(大船渡)は26日に石垣島入りし、キャンプインに向けて準備を進めている。
キャンプ開催を取り仕切る石垣市企画部観光文化課に話を聞くと、こう回答した。
「できるだけ早いうちに対策を打ち出したいと考えていますが具体的なものについては検討段階です。もし、石垣島で感染者が出た場合? 何らかの対策が必要なことは承知していますが、それについてもできるだけ早い段階でと考えています」
とはいえ、「国の対策が打ち出されないことには、それに合わせた対策を立てづらい部分もある」とこぼす地元関係者もいる。
昨夏の甲子園準優勝投手であるヤクルト・奥川恭伸(星稜)は、宮崎・西都市で行われる二軍キャンプに帯同する。西都市のスポーツ振興課は対策についてこう話す。
「キャンプ中に派遣する職員の数を増やし、敷地内に選手専用の導線を張ることになりました。ただ、ウイルス対策という点では、観客の体調が悪くなった人から申告があれば、救急車を呼んだり、現地で感染者が出ればマスクをするといったことはあると思いますが、基本的に例年通り、キャンプを行う方向です」