開幕戦2Gの浦和レオナルドは往年の釜本邦茂を彷彿とさせた
1点目のときには、ヤンマー時代の釜本氏を思い出した。釜本氏は、ニアでフィニッシュを狙っているとき、あえてファーにポジション取りをすることでニアにスペースを作っていた。自分が勝負したいと思った場所を<自分自身で作り出していた>というわけなのだ。
興味深いことにオープンスペースに味方選手が「おっ! スペースが空いているじゃないか」と侵入したきたら、釜本氏は「ワシが作ったスペースに勝手に入ってくるんじゃない」と激怒したものである。天性のストライカーにして、非常に研究熱心な釜本氏ならではのエピソードである。
レオナルドはJ1開幕戦の前半42分、山中の左サイドからのアーリークロスをヘディングでチーム2点目を奪っている。
このときのレオナルドは山中を視野に入れながらゴールに正対し、サイドステップでファーに流れた。ボール保持者の山中はもちろん、相手GKとゴールの位置を確認しながらのポジショニングである。だからこそ難しいクロスにマーカーと競りつつ、的確にゴール右に流し込むことができた。
2010年南アW杯で得点王に輝いたウルグアイ代表FWディエゴ・フォルランのプレーについて、元日本代表ストライカーの森山泰行氏は「ボール保持者、ゴール、GKのポジションを視野に入れてアザーサイドに流れるプレー」と賞賛した。これは森山氏も得意としていたプレーであり、近年では3年連続してJ1得点王になった大久保嘉人(現東京V)が得意とするプレーでもある。