大関昇進・朝乃山の転機 中学時代の左ヒジ骨折と不屈精神

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「相撲を続けようか迷っています」

 朝乃山にとって、大きな転機となったのが3年時に出場した全国都道府県中学生相撲選手権大会。国技館の土俵で行われたこの大会で優勝……ではなく、左ヒジを骨折してしまった。

「おっつけられ、締め付けられて脱臼骨折です。この時のケガの影響で、同じ年に行われた中体連の全国大会には出場できなかった。当時、彼はキャプテンでしたから、無念だったでしょうね。ただ、もしこのケガがなければ高校でも相撲を続けていたかどうか……」(杉林教諭)

 朝乃山は富山商高の故・浦山英樹監督に「オレが強くしてやる」と勧誘され、進学した経緯がある。しかし、杉林教諭は「もし、全国大会に出場していたら相撲をやめていたかもしれない」と、こう続ける。

「ケガをする前、『高校に行っても相撲を続けようか迷っています』と話をしていましたから。それが左ヒジの骨折でしょう。中体連の大会でも、腕にギプスをしながら、まわしをつけて応援していた。それだけにこのまま終われない、と思ったんでしょうね。『不完全燃焼だったので高校でも相撲を続けます』と言っていましたから」

 富山商高では浦山監督の厳しい指導、近畿大学では故・伊東勝人監督による自主性を重んじた指導で鍛えられた。いずれも基礎稽古を最重視し、みっちり行うのは共通している。

 アマチュア時代にコツコツと積み上げた稽古を財産に、富山県勢としては1909年の太刀山以来となる大関に昇進した朝乃山。次の番付は、決して遠くはない。

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