田嶋幸三JFA会長がコロナ病床で考えた日本サッカー救済策

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスに感染したJFA(日本サッカー協会)の田嶋幸三会長(62)は<死の恐怖と闘いながら>入院生活を送った。ベッドの上で何を思い、これからJFA会長として何をなそうとしているのか? ビデオ会議システムを通してサッカージャーナリストの六川亨氏が聞いた。

■欧州のムーブメントに感銘

 3月16日にPCR検査を受け、陽性反応が出た田嶋会長は、感染症の指定病院に入った。

「そんなに広くない陰圧室(空気や細菌が外部に流出しないように気圧が低く管理された部屋)に入りました。窓はありましたが、開けることは禁止。トイレとシャワーは備わっていました」

 医師や看護師は防護服など完全防備。献身的なサポートを受けた田嶋会長は医療従事者に対する感謝とリスペクトを口にし、医療現場への支援の必要性を痛感している。

「今、欧州では20時になると(国民が)拍手をしています。この<医療従事者に感謝の気持ちを送る>ムーブメントが日本では起こっていません。ぜひスポーツ界から湧き起こってほしいと思う。私たちはW杯予選でファンやサポーターの皆さまに全力で応援していただき、大きな力をいただいています。見えない敵と最前線で闘っている医療従事者、スタッフの方を誰も応援しないのはおかしいと思います。メディアにも、ぜひお願いしたい」と力説する。

■コロナ禍で失職、給与減、経営難も…

 JFA会長として思うことは多岐にわたる。

「たとえば、JFAに支払っていただいている選手登録料ですが、職を失ったり、給料が大幅に減ったりした方に、登録料を払ってくださいと言えますか? 収入が減って子供の登録料が払えないから、子供にサッカーを諦めてくれと言わざるを得ない状況を見過ごせますか? (入院中に)自分に問いかけました。それはできない! と。全国の町のサッカークラブの存続が危ぶまれる事態が生じ、職を失うコーチも出てくるでしょう。JFAの責任として、しっかりサポートしていきます」

 再開のメドが立っていないJリーグについては、「(協会納付金として)Jリーグを含めて入場料収入の3%を(JFAに)いただいています。(年間)総額約6億円です。試合もやっていないのに3%はいただけません。(JFAには)我々の諸先輩に積み立てをしていただいたお金があります。今の困難を乗り切るために『使う覚悟』がないといけないと思っています」と断言した。

 Jリーグの再開を秋までずらし、欧州各国リーグのカレンダーに合わせて<Jリーグを秋開幕―(翌年)春閉幕>に移行すべきではないか、という意見も一部にはある。

「Jリーグのシーズン制を(秋―春制に)移行することありきでサポートしようとは思っていません。いつ再開できるのか、見通しも立たなくなってしまっている今、まずは難局をみんなで乗り切ることが大切です。そのために必要なことを分析していきたい。シーズン制を変えることが難局を乗り切るための<選択肢のひとつ>としてあるのならば、いろいろ考えたいと思いますが、今は考えていません」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇