敵同士が試合中にジャンケン…星野監督なら即2軍落ち通告
2011年3月のプロ野球12球団実行委員会でも、この規則の徹底が確認された。当時、大相撲で八百長が発覚し、プロ野球でも選手同士のなれ合いを排除するためだった。
川島、杉谷両選手がジャンケンをする姿を見て思い出されるのは、昭和40年から48年まで巨人を日本一に導いた名将・川上哲治監督(1920年~2013年)だ。
V9時代を築いたシーズン中のことだ。ある試合で、「8時半の男」として知られた巨人の抑えのエース、宮田征典投手(1939年~2006年)がヒットを放って出塁し、1塁ベース上で相手チームの選手と談笑していた。巨人の攻撃が終わり、ベンチに戻った宮田投手は、川上監督から「相手チームの選手と話なんかするな!」と雷を落とされ、さらに試合後、こう言われたという。
「試合中、相手の選手と話をすれば、つい、愚痴が出たり、チームの内情を喋ったりしかねない。相手に隙を与えるようなことはするな」
現役引退後、巨人や西武などで投手コーチを務めた宮田投手は、その時の様子を振り返りながら、「川上監督の厳しさがよく理解できた」と話していた。中日や阪神、楽天で監督を務めた星野仙一氏も口癖のように「グラウンドは戦場だ!」と言っていたが、もし、川上氏や星野氏がソフトバンクあるいは日ハムを指揮していたら、川島、杉谷両選手はベンチに戻るなり、即刻、2軍落ちを通告されたのではないだろうか。
▽富岡二郎 スポーツジャーナリスト。1949年生まれ。東京都出身。雑誌記者を経て新聞社でスポーツ、特にプロ野球を担当。