<1>エースは故障を押し「いかせてください」と登板を直訴
8月8日、気温30度を超える蒸し暑い日、拓大紅陵の夏は終わった。
夏の甲子園大会が中止に。千葉県の代替大会4回戦、拓大紅陵は姉妹校の志学館に1―8のコールドで敗れた。
初回に2点を失い、三回、四回にも1失点ずつ。1点を返したものの、試合は劣勢のまま進んでいく――。
和田孝志監督(49)が当日を振り返る。
「初回に点を取られ、流れが一方的になってしまったんです。エースの竹内(将悟)は大会前に練習で腰を痛めて登板できず、チーム全体のモチベーションが落ちてしまったことも無関係ではなかったかもしれません」
竹内の名を周囲に知らしめたのは、昨年の秋季県大会。準決勝の専大松戸戦を含め3完封、千葉2位でチームを関東大会に導いた。そんなエースが大会前に故障、一球も投げられないまま、ベンチで声をからしていた。
しかし、防戦一方のチームメートを見て、居ても立ってもいられなくなったのだろう。「七回からいかせてください! お願いします!」と、和田監督に登板を直訴してきた。