<1>エースは故障を押し「いかせてください」と登板を直訴
「吹奏楽部の定期演奏会やコンクールも、新型コロナの影響で中止になりましたからね。あのブラスバンドの応援は、選手にとっても大きな力になるんです。彼らも普段磨いてきた演奏の場がなくなったことはつらいはず。その意味では、代替大会ができただけでも、野球ができただけでも野球部は幸せだったんだと……」(和田監督)
七回終了時点で試合は1―7。ケガを押してマウンドに上がった竹内は八回に1点を失い、その差は7点に開いた。七回以降に7点差がつけばコールドゲーム。拓大紅陵は八回裏の攻撃も無得点に終わり、この時点でゲームセットとなった。
新型コロナはいまもなお、日本全国に大きな影響を与えている。高校野球界もしかり。この夏、拓大紅陵野球部が紡いだ物語を連載でお届けする――。(つづく)