<3>自粛期間の3カ月で失われた礼儀、返事、集団行動の教育
「本当はもっと教えたかったことがたくさんあった」
こう話すのは、今年3月に母校拓大紅陵野球部の非常勤コーチに就任した飯田哲也氏(52)だ。
■理事長は高校時代の同級生
ヤクルト黄金時代は名外野手として鳴らし、引退後はヤクルト、ソフトバンクでコーチを務めた。拓大紅陵の鎌田淳一理事長は高校時代の同級生という縁もあり、指導者資格回復を機に母校の力になろうと決めた。
そんな意気込みも新型コロナウイルスに水を差された。
飯田氏がコーチに就任して1カ月もたたない4月上旬、学校は休校となり、部活動も停止された。
「昨年秋の県大会で準優勝しましたからね。僕も『よし、後輩たちを鍛えるぞ!』と楽しみにしていた。その矢先ですよ」
飯田氏は高校3年時の1986年に春夏連続甲子園出場。ともに1勝した財産を後輩たちに分け与えようとした直後の休部だった。