サイン盗みの2人が復権 MLB「厳罰」や「永久追放」の実態
2018年には薬物検査で3回陽性反応が出て永久追放になったメッツの元クローザー、ジェンリー・メヒアがマンフレッド・コミッショナーに永久追放の解除を直訴し、了承されて現役復帰している。賭博と薬物に関連した事案は変更できないMLBのタブー領域と見なされていたので、この件はさまざまな臆測を呼んだ。
1980年にはレンジャーズのエース、ファージー・ジェンキンズがコカイン3グラムとハシシュ2・2グラムを所持して逮捕され、キューン・コミッショナーから追放処分を受けた。
しかし、すぐに解除されたため、ジェンキンズは現役生活を続行。引退後の1991年には殿堂入りを果たした。すでに通算250勝を達成し殿堂入りが確実になっていたので、輝かしいキャリアに傷がつかないよう配慮したものと思われる。
1979年には通算660本塁打の大打者ウィリー・メイズがカジノに雇われ、挨拶係をしていることが発覚。厳格な性格のキューン・コミッショナーは「殿堂入りしたヒーローがカジノで働くとか何事か」と怒り心頭に発し、野球界との交わりを一切禁じる追放処分を科した。3年後にはヤンキースの元主砲ミッキー・マントルもカジノの客寄せに雇われていることが発覚し同じ処分を受けた。1985年にユべロスがコミッショナーになると、この血も涙もない処分は解除され、2人はかつての名選手が集うオールド・タイマーズデーなどに参加できるようになった。