レイズ躍進が誘発 コロナ禍を利用したスカウトの大量解雇
FA市場が解禁、日本からもポスティングを利用してメジャー挑戦する選手が何人かいるとあって、わたしは親しいスカウトたちと連日、情報交換している。
最も多いのは巨人の菅野智之、ソフトバンクの千賀滉大に関する話題だ。千賀は渡米の可能性が低いものの、彼らとは数字で測れないデータ以外の部分、性格や私生活について知り得た情報をやりとりする。例えば菅野は気が強いのか、結婚はしているのか、酒は好きか、飲んで暴れたりしないかといった話が中心になる。
彼らと電話で話をする中で、必ずと言っていいほど話題に上るのは、わたしも含めて自分たちは来季もいまの仕事を続けられるかということだ。
カブスはスカウトも含めて実に100人程度の球団職員が解雇されたと聞く。フィリーズでは5人のプロスカウトがクビになったというし、日本や韓国、豪州などをカバーする環太平洋担当のうち半数近くは来季の去就がまだ決まらないようなのだ。
メジャーはデータ野球全盛。数字を重視するレイズとドジャースがワールドシリーズを戦ったことで、いよいよその傾向に拍車がかかる。資金力のあるドジャースはともかく、カネがないレイズの成功例は、我々スカウトにとって大きなダメージとなりかねない。