女子卓球・伊藤美誠 心身の弛緩が生む“みまパンチ”の脅威

公開日: 更新日:

伊藤美誠(女子卓球・20歳)

 リオ五輪では卓球史上最年少(15歳)でメダリスト(団体)になった少女がエースに成長。東京五輪は打倒中国に燃える。

 プレースタイルは独特だ。バック面に回転のかけにくい「表ソフトラバー」を使い、回転量の読みにくいトリッキーなプレーで相手を翻弄する。

 フォア面には回転のかかる「裏ソフトラバー」を使い、強烈な回転のサービスを出すが、ラリーではあえて回転をかけないスマッシュや腰をひねらないカウンター気味の「みまパンチ」を繰り出す。

 卓球コラムニストの伊藤条太氏は、「回転がかかりにくいラバーで回転をかけ、回転をかけやすいラバーで回転をかけない伊藤のスタイルは、私の知る限り、世界中のどこにも存在しない」と言う。

 もうひとつの強みはメンタルだ。

「伊藤は心臓に毛が生えているとか、メンタルが非常に強いといわれていますが、強・弱の問題ではない。瞬間的な反応が求められる卓球という競技は、他のスポーツ以上にリラックスが必要です。緊張していると全身に力が入り、スイングが遅くなる。判断力も落ちます。伊藤の練習をテレビで見たことがあります。ヘラヘラ笑っていて、まるでふざけているようでした。やっぱりな、と思いました。日本のスポーツ界はそんな練習を許さないが、母親(美乃りさん)と松崎(太佑)コーチは、そのような練習環境こそが、強さにつながることを知っているのでしょう。伊藤は試合中に不敵な笑みを浮かべることもある。あれは緊張しているのです。無理にでも笑顔をつくれば体は弛緩する。リラックスするための手法なのです。リラックスしているから、練習でやったことのない技が試合中にひらめき、できてしまうことがある。相手選手にとって脅威です」(伊藤氏)

 最後に五輪のメダルについて伊藤条太氏はこう語る。

「中国選手は強敵ですが個人戦には2人しか出ません。伊藤は中国選手以外にもときどき負けますが、過去の対戦成績などから考えて、銅メダルの確率は8割。銀は3割、金1割ですね」

【連載】東京五輪の主役候補 知られざる素顔と実力

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    三浦大知に続き「いきものがかり」もチケット売れないと"告白"…有名アーティストでも厳しい現状

  2. 2

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  3. 3

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  4. 4

    松嶋菜々子の“黒歴史”が石橋貴明セクハラ発覚で発掘される不憫…「完全にもらい事故」の二次被害

  5. 5

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  1. 6

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  2. 7

    下半身醜聞の川﨑春花に新展開! 突然の復帰発表に《メジャー予選会出場への打算》と痛烈パンチ

  3. 8

    モー娘。「裏アカ」内紛劇でアイドルビジネスの限界露呈か…デジタルネイティブ世代を管理する難しさ

  4. 9

    伸び悩む巨人若手の尻に火をつける“劇薬”の効能…秋広優人は「停滞」、浅野翔吾は「元気なし」

  5. 10

    小松菜奈&見上愛「区別がつかない説」についに終止符!2人の違いは鼻ピアスだった