田中のヤ軍再契約消滅 “病み上がり”2投手獲得で実力見切り
田中将大(32=ヤンキースからFA)の再契約は完全に消滅したのではないか。
ヤンキースが日本時間25日、交換トレードでパイレーツの右腕ジャーメソン・タイロン(29)の獲得を発表したのだ。
タイロンは2010年ドラフトの全体2位で指名された有望株。18年に先発で14勝したが、19年に2度目のトミー・ジョン手術を受け、昨シーズンは全休。150キロ台の速球とキレのいいスライダーが武器だ。
サイ・ヤング賞2度のクルーバー(34)に続く先発の補強により、ヤンキースのローテーションはほぼ固まった。このオフは、ぜいたく税を避けるためにチームの総年俸を抑える方針だけに、田中が入る隙間はいよいよなくなったとみていい。
クルーバーもタイロンも故障明け、いわば“病み上がり”だ。それでもヤンキースは彼らを選んだ。要するに田中の能力、実力が問題視されたのだ。
■昨季プレーオフのKOが致命傷に
ヤンキースはポストシーズンが近づくにしたがって、ロッカールームやフロントオフィスの雰囲気がピリピリする。プレーオフに出るのは当たり前、目標はあくまでもワールドシリーズ制覇だからだ。それだけに選手もポストシーズンの成績が重要視される。
田中は一昨年までポストシーズンにめっぽう強かった。計8試合で防御率1.76。6年連続2ケタ勝利とコンスタントに勝ち星を稼げることに加え、勝負強さが何よりの売りだった。
そんな田中に対する評価が、昨年、百八十度変わった。ポストシーズン2試合に登板して0勝1敗、防御率12.38。レイズとの地区シリーズ第3戦では2本塁打を浴びるなど5回途中5失点でKOされた。ヤンキースは結局、同地区のライバルに引導を渡され、田中はNY各紙に「戦犯」と書かれた。
「昨年は7年契約の7年目。再契約に最も重要なシーズンの、しかもプレーオフで打ち込まれたのは致命的でした。再契約を望んでいた本人はフルスロットル、全力を出し切ってボコボコにされたわけですから。田中は一昨年からスプリットで空振りを奪う率が低下、制球や球のキレが甘くなったともっぱら。昨年のプレーオフの結果がそれを裏付けたのです」とは現地特派員だ。