IOCバッハ会長“VIP招待客の入国ゴリ押し”に日本なす術なし

公開日: 更新日:

 東京五輪開催に向け、日本政府や東京五輪組織委員会、東京都は一般外国人観客の受け入れを断念する方針を示している。そこに、国際オリンピック委員会(IOC)はスポンサー関連の招待客らが入国・観戦できるよう要望しており、日本側はこれを検討中だ。

■外国人観客の受け入れ断念も…

 ただでさえ国民の過半数が東京五輪の「延期」「中止」を訴えていることもあり、この“VIP特例”を認めてしまえば国内で猛反発が起きることは火を見るよりも明らかだ。インターネット上では早くも「IOCはどこまで日本をバカにしているのか」「こんなのもっての外だ」「受け入れるなら中止だ」など、怒りの声が吹き荒れている。

 一般外国人観客についての最終的な判断は日本政府、大会組織委、東京都、IOC、国際パラリンピック委員会との5者協議を経て、聖火リレーが始まる今月25日までに下される。しかし、12日現在、スポンサーの受け入れについては具体的な方針が示されていない。

「日本側は批判を避けたいので、断りたいのが本音でしょう」と、東京五輪関連の著書がある作家の本間龍氏は状況をこう説明する。

「ワールドワイドオリンピックパートナー(IOCのいうスポンサー)はグローバル企業なので、世界中にネットワークがある。どんなに少なく見積もっても1社当たり数千人以上の『関係者』が来るでしょう。自社の得意先まで連れてきたら、さらに数字は跳ね上がります。それでは何のために一般外国人の観客を入れないのか分からなくなってしまうし、新型コロナウイルスは変異株が拡散している。危険でしかなく、日本側にメリットは全くありません」

最終的な決定権はIOC

 ならば、日本側が受け入れを拒否すればよいのではないか。

「IOCはお客さまであるスポンサーが大事なので、これをゴリ押しされれば日本は受け入れざるを得ません。『全てにおいて最終的な決定権はIOCにある』というのがオリンピックの契約です。つまり、日本はIOCに対して拒否権を持っていないのです。そのため、結局はスポンサー関係者を受け入れることに決まるでしょう。日本は1社当たりの人数規制など、どのくらい厳しい制限をIOCに認めさせられるかが鍵になります」(本間氏)

 トーマス・バッハ氏は10日、IOC会長に再選され、「現時点で開会式が7月23日に行われることは疑う余地がない。開催されるかではなく、どう開催するかが問題だ」と、改めて意気込んだ。果たして、安心・安全とかけ離れていく利権ファーストの東京五輪はどこへ向かうのか……。

 

中国が東京五輪参加者にワクチン提供の申し出

 そのバッハ会長は11日、中国の五輪委員会から「東京五輪と来年の北京冬季五輪の選手や関係者に新型コロナウイルスワクチンを提供する」との申し出があったと明らかにした。そのうえで「費用の負担はIOCが行う」と語った。10日から始まったIOC定例総会での発言だ。

■日本への事前通告なし

 日本側には寝耳に水だったようで、武藤事務総長は「事前に話は全く聞いていない。ワクチンの接種については日本政府がやっている。組織委としてコメントする立場にない」と語った。
 

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • その他のアクセスランキング

  1. 1
    フィギュア宇野昌磨 電撃引退の裏に新星マリニンとの実力差…また稼ぎ頭失った連盟は先行き不安

    フィギュア宇野昌磨 電撃引退の裏に新星マリニンとの実力差…また稼ぎ頭失った連盟は先行き不安

  2. 2
    フィギュア界を襲う「宇野昌磨ロス」…唯一張り合えた鍵山優真より下の選手層スカスカゆえの懸念

    フィギュア界を襲う「宇野昌磨ロス」…唯一張り合えた鍵山優真より下の選手層スカスカゆえの懸念

  3. 3
    女子フィギュアスケート本田真凜が日刊ゲンダイにだけ激白していた“アンチ”への思い

    女子フィギュアスケート本田真凜が日刊ゲンダイにだけ激白していた“アンチ”への思い

  4. 4
    羽生結弦に「妻を守り切れなかった男」のレッテル…“完全無欠のプリンス”を見る目にも変化が

    羽生結弦に「妻を守り切れなかった男」のレッテル…“完全無欠のプリンス”を見る目にも変化が

  5. 5
    宇野昌磨の引退で「競技廃れてショー栄える」とフィギュア関係者が嘆き節…ファン離れ深刻懸念

    宇野昌磨の引退で「競技廃れてショー栄える」とフィギュア関係者が嘆き節…ファン離れ深刻懸念

  1. 6
    女子ラグビー原わか花の人生を変えた留学経験 体型を変えたフィッシュ&チップス

    女子ラグビー原わか花の人生を変えた留学経験 体型を変えたフィッシュ&チップス

  2. 7
    女子ラグビー原わか花「五輪を目指すのは想像以上に過酷」…一度は折れた心を再起させた妹の涙

    女子ラグビー原わか花「五輪を目指すのは想像以上に過酷」…一度は折れた心を再起させた妹の涙

  3. 8
    女子ラグビー原わか花「反対されるかも…」親戚一丸で祖父に隠した高校からのラグビー挑戦

    女子ラグビー原わか花「反対されるかも…」親戚一丸で祖父に隠した高校からのラグビー挑戦

  4. 9
    錦織圭は相性のいい8月の全米オープンを見据え、時代の急な流れとも戦っている

    錦織圭は相性のいい8月の全米オープンを見据え、時代の急な流れとも戦っている

  5. 10
    女子ラグビー原わか花 テレビ中継を目にして「コレだ!」 すぐさま強豪校に資料請求、競技人生の幕が開いた

    女子ラグビー原わか花 テレビ中継を目にして「コレだ!」 すぐさま強豪校に資料請求、競技人生の幕が開いた

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

  3. 3
    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

  4. 4
    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

  5. 5
    阪神・岡田監督に「契約延長説」急浮上…勇退説から二転三転も、背景に夫人のサポート

    阪神・岡田監督に「契約延長説」急浮上…勇退説から二転三転も、背景に夫人のサポート

  1. 6
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 7
    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

  3. 8
    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

  4. 9
    「飲みィのやりィのやりまくり…」高市早苗氏がブチまけていた“肉食自伝”の衝撃!

    「飲みィのやりィのやりまくり…」高市早苗氏がブチまけていた“肉食自伝”の衝撃!

  5. 10
    野茂英雄氏と借金トラブル 元1億円投手の佐野慈紀さんは今

    野茂英雄氏と借金トラブル 元1億円投手の佐野慈紀さんは今