センバツNo.1右腕 市和歌山・小園巡り巨人と阪神が争奪戦
センバツナンバーワン投手で、最速152キロを誇る市和歌山・小園健太投手(3年)が23日、強打の県岐阜商を相手に完封勝ちした。
9回130球を投げ、4安打、8奪三振。ストレートは最速147キロ。6四球を与えるなど制球に苦しんだが、得意のツーシーム、カットボール、スライダーを投げ分け、得点を許さなかった。
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ネット裏のスカウトはどう見たか。広島の苑田スカウト統括部長が「剛速球タイプと思っていたけど、器用な投手ですね。投球の組み立てもうまい。ストレートが走らなくなってくると、変化球で立て直せるし、打者ごとにコースを選んで投げているように見えた。あれは捕手のリードではなく、自分で考えながらやっていると思いますよ。文句のつけどころがありません。次戦が楽しみです」と評価すれば、テレビで観戦した日本ハムの山田スカウト顧問はこう言った。
■変化球で腕の振り緩まず
「腕の振りが速いのは大きな長所です。ストレートはもちろん、スライダーなどの変化球を投げる時も腕の振りが緩まず、腕を体に巻き付けるように振れている。だから変化球のキレもいい。これは投手にとって、ものすごく大切な要素です。走者を得点圏に背負ったり、重要な場面になると、一段ギアが上がるのもプラス材料。ピンチを迎えると、それまで以上にキレのあるボールをいいコースに投げていた。点を与えにくい投手です。ドラフトで上位指名されるポテンシャルがあるし、これから夏に向けてさらによくなると思う」
性格もプロ向きだ。
敵将の鍛治舎監督はカウント0-2、0-1から2度、代打を送って揺さぶったが、「ボクは途中で代わってくれた方が、(相手が)初見でありがたかったです」といずれも空振り三振に。5つの犠打を決められ、再三得点圏に走者を背負ったものの、「もっとエンドランとか仕掛けてくるチームだと思っていた。自分としては二塁に走者を背負っても、バントはありがたかった」と振り返った。
大阪出身。地元・阪神は「ドラフト1位候補」として早くから高知・森木、大阪桐蔭・関戸とともにリストアップしている。今大会の活躍次第では、「虎の恋人」と関西マスコミが騒ぎ出すのは時間の問題だ。しかし、熱視線を送るのは、何も阪神だけではない。
甲子園のスター外し続け
この日は榑松アマチュアスカウト統括兼スカウト部次長らが視察した巨人もゾッコンだ。
7日に行われた近大付との練習試合には、水野スカウト部参与が訪れ、「高校生ではトップに入る。いろんなボールで強弱もつけられる。同じ腕の振りで内も外も空振りが取れる。150キロ出るでしょう。楽しみ」と絶賛していた。さる球界関係者がこう言う。
「巨人はそろそろ松井秀喜のような生え抜きのスーパースターをつくりたい。そのためにドラフト1位は、甲子園のスターを獲得したいという球団の方針がある。入団後にスター選手になるには、実力はもちろんのこと、高校時代の知名度が重要と考えているからです。2017年に1位指名した清宮(早実=日本ハム)から根尾(大阪桐蔭=中日)、奥川(星稜=ヤクルト)と3年連続で甲子園のスターを取りにいくも、抽選を外している。小園は今大会ナンバーワン投手。いや、高校ナンバーワンかもしれない。エース菅野がこのオフにFAでメジャーへ流出する可能性が高いため、将来のエース候補、菅野の後釜候補が欲しい事情もある。これから甲子園のスターになり得る投手で、そういったプラスアルファも含め、巨人の評価はうなぎ上りなのです」
昨年も佐藤輝の1位指名で競合するなど、何かと補強ポイントが重なることが多い巨人と阪神。今年も両球団はドラフト戦線でも火花を散らしそうである。