さぁ、困った! 即戦力のドラフト1位候補を評価できない
大学生投手を1位指名する球団は当然、即戦力として考えているだけにより正確に評価する必要がある。
「去年は夏の甲子園が中止になったりして高校生をきちんとチェックできなかった。自然と視察できた大学生が人気になったが、今度は高校生を見られる代わりに大学生が見られなくなった。押し出されるようにして高校生が人気になるかもしれないな」と部長は話す。
例えば神奈川や埼玉の高校の春季大会は、各球団2人までスカウトが視察できた。センバツに続いて夏の甲子園もチェックできるようなら、高校生はある程度、正確に評価できる。
「ところで、おまえ、なんだってリストに内野手ばかり載せてるんだ? この前も、担当スカウトが太鼓判を押す外野手をおまえと見に行ったら『あんなもの、たいしたことありませんよ』なんて言ってたが……」
部長にこう水を向けられて、一瞬、ドキッとしたね。オレが担当した外野手が今年、ようやくレギュラーに定着しかけたっていうのに、なまじっか力のある外野手が入ってきたら控えに逆戻りなんてこともある。セコイと言われるかもしれないけど、スカウトは自分が担当した選手が活躍してナンボだからね。そんな思惑が部長に見透かされたんじゃないかってヒヤヒヤしたのさ。
(プロ野球覆面スカウト)