<前>無理のしわ寄せで勤務シフトや安全点検が狂いっぱなし

公開日: 更新日:

 大晦日1日限りの終夜運転とはワケが違う。これだけの規模と期間で鉄道が長時間走った経験はどこの会社もない。鉄道関係者は半年以上勤務シフトを狂わせて対処することになる。売店従業員や清掃作業員なども同様だ。トラブルになるかはやってみないと分からない。

 事は人間だけで済まない。電車も線路も一定期間内の安全点検が欠かせないが、オリンピック期間中はそれができない。事は安全にかかわるから後回しにはできない。前倒しだ。こうした前倒し点検はとっくに始まっていて、要員は駆り出されている。つまりオリンピック期間の無理のしわ寄せは、前にも後にも長く続くのだ。

■特別輸送出費と乗客減のダブルパンチ

 観客を入れないのなら深夜の終電延長や増発はやらなくていいのか。それすら分からない中、ひたすら出費がかさみ、首都圏鉄道はコロナでの乗客減とのダブルパンチだ。この出費は、最後はオリンピックに縁のない乗客の運賃負担上昇やサービス低下で埋め合わせるしかない。

 もう輸送の世界ではオリンピックは始まっている。でも今撤退すれば、まだ大出血を止めることはできるはずだ。 =つづく

(鉄道ジャーナリスト・石山政男)

【連載】もう間に合わない!五輪交通大混乱

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ日枝久相談役に「超老害」批判…局内部の者が見てきた数々のエピソード

  2. 2

    レジェンド落合博満氏が《とても不安の残る1年目》とバッサリ…実際問題どれくらいやれるのか?

  3. 3

    フジテレビは株主総会に戦々恐々…宿敵ホリエモンら“くせ者”が日枝久氏ら経営陣に退陣要求も?

  4. 4

    フジ女子アナ“上納接待”疑惑「諸悪の根源」は天皇こと日枝久氏か…ホリエモンは「出てこい!」と訴え、OBも「膿を全部出すべき」

  5. 5

    一部ファンが現実逃避? 中居正広“別人疑惑”再燃…「本人すでに死亡」と考える人々が現れる

  1. 6

    「Snow Man=めめ以外は演技下手」定着のリスク…旧ジャニのマルチ売りに見えてきた限界

  2. 7

    兵庫県百条委メンバーの前県議が死亡、ついに3人目の犠牲者…斎藤元彦県政「誹謗中傷」放置の罪深さ

  3. 8

    菊間千乃弁護士、堂々の「情報7days」出演にフジテレビへの忠誠心を感じたとする声が続々

  4. 9

    大谷の「お荷物」にならないか…間もなく第一子誕生&二刀流再開のところに“同郷の後輩”

  5. 10

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事