「他の男の子どもなのに愛おしい」交際相手よりもその息子に特別な思いを抱く41歳バツ1男性【冷酷と激情のあいだ~男性編~】

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コクハク

41歳、他人と暮らせない

「冷酷と激情のあいだvol.236〜女性編〜」では、友人の紹介で知り合った恋人とわずか交際半年でレス状態に悩む絢子さん(39歳・仮名)の心情をお届けしました。
 恋人のトシキさん(41歳・仮名)は、レスの理由について「深入りはしたくない」と話す一方で、絢子さんの息子との距離は積極的に縮めようとしています。その姿勢に対して強い不信感が募る絢子さんですが、トシキさんはどんな思いを抱いているのでしょうか。

【冷酷と激情のあいだ~男性編~】

「絢子のことは好きですよ。フツーに好きです。紹介してくれた友人にも感謝していますよ。えーっと、でもいきなり結婚とかそういうのはちょっと…って感じですね。同棲とかも無理です。

 だって僕、他人と暮らせないんですよ、多分。だから前の結婚もあっという間に破綻しましたし。他人と一緒に何かをするっていうのが、多分極端に苦手な部類なんでしょうね」

 絢子さんへの気持ちはある、と何度も繰り返しながらも「結婚や同棲は、絶対にしない」と繰り返すトシキさん。

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恋人の息子への特別な思い

 しかし絢子さんの息子に対しては、特別な思いも抱いていると打ち明けます。

「僕、前の結婚で子どもが欲しかったんですけど、妻と不仲だったから結局、ちゃんと子作りができないままに終わってしまったんです。

 絢子はシングルマザーで息子を育てていて、その息子が僕によく懐いてくれているんですよ。もう中学生ですから、思春期ですよね? なのに母親の恋人である僕を、冷静かつ友好的に受け入れてくれていて、すごく大人っぽい精神をもっている子だなって感心しています」

 絢子さんの息子を、ベタ褒めするトシキさん。

 恋人とはいえ他人の子どもに対して、そこまでの愛情を抱くようになるとは「自分でも想像していなかった」と続けます。

恋人の息子となら暮らせるかも

「ちょっとおかしいかもしれないですけど、絢子とは暮らせないけど、絢子の息子となら暮らせそうな気がしますね。

 まぁ、現実的には実現しないでしょうけどね。気持ち的には、そんな感じです。

 絢子とは…、うーんどうだろうな…、たまに会って食事したりする程度なら大丈夫なんですけど、一緒に暮らすのはキツイだろうなあ…。

 僕ね、もしかすると女性と暮らせないのかもしれないですよね。だって絢子の息子は守ってあげたいな、とか成長を手伝ってあげたいなとか思っちゃうんで。

 絢子の息子は、絢子が離婚したときから父親との交流がないって聞いていて、最初はそんな境遇に同情したんですよね。ところが接しているうちに、同情以上の感情が湧いちゃって。

 なんていうか、自分の息子じゃないのに、すごく愛おしいんですよ。変ですよね。まあ自分の子どもをもったことがないので、この感情がなんなのかよくわかってないですけど」

恋人の代わりはいるけど…

「批判を恐れずに話すなら、絢子の代わりはいても絢子の息子の代わりになる人はいないと思うくらい、親近感が湧いている」と口にするトシキさん。

 しかし絢子さんとの距離を今よりも縮めるのは難しいとも感じており、トシキさんなりに葛藤をしていると言います。

「どうなんでしょうね、このまま僕が絢子と一緒にいても籍を入れることは多分ないから…。そうなると、あの息子とも法律上の親子になる可能性は限りなく低いですよね。

 だけどあの息子とは、離れたくないなって気持ちが強いんですよ、成人になるまで僕が見届けてあげたい。

 そんな都合のいい話が通るのかはわからないですけど…。これが今の素直な気持ちです」

  ◇  ◇  ◇

 恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。

 まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。

(並木まき/ライター・エディター)

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