大谷DH1位で球宴初選出もリアル二刀流に陰り…エ軍救援陣ヘロヘロで崩壊危機
エンゼルス・大谷翔平(26)が初の栄誉を手にした。
米大リーグ機構(MLB)は日本時間2日午前、オールスター戦(14日=コロラド州デンバー)のファン投票最終結果を発表。大谷はア・リーグDH部門トップの得票を集めて球宴でのスタメン出場が決まった。開催地であるロッキーズの本拠地クアーズフィールドは「マイルハイ」といわれる標高1600メートルの高地にあり、打球が飛びやすい。すでに参加を表明している13日の本塁打競争と合わせて特大の一発に注目が集まる。投打の二刀流での球宴出場も見込まれており、投手と控え野手は5日の午前6時半に発表される。
大谷は球宴に向けて弾みをつけるためにも今季最後の聖地ヤンキースタジアムで結果を残したかったはずだが、同日のヤンキース戦は雨のため中止。代替試合の実施は8月17日に決まった。
ここにきて「リアル二刀流」は陰りを見せ始めており、1日のヤンキース戦では「1番・投手」で出場。近代野球では初めて投手によるリードオフマンが実現したが、結果は3分の2回を2安打5四死球7失点で1回持たずにKО。一回の打席では中飛に倒れ、2007年7月に松井秀喜(当時ヤンキース)がマークした月間13本塁打の日本人最多記録の更新もならなかった。
■1回途中7失点は「調整不足が明らか」
試合後の大谷は「上体が突っ込み気味でその分、引っかけも多かった。(初めて登板したヤンキースタジアムの)マウンドの傾斜に対応する前にああいう形になってしまった」と分析。「体調も良くて腕も振れていた」と万全のコンディショニングだったと強調したが「調整不足は明らかでした」と、JスポーツMLB中継で解説を務める評論家の三井浩二氏がこう続ける。
「二刀流として、ほぼフル稼働している疲労もあるのでしょうが、足腰の粘りがなく、体の開きも早いため、抜け球が目立ちました。本人は投手としての調整をおろそかにしているわけではないと思いますが、打撃が好調でDHとして出場を続けたことで準備が不足していたのではないか。このまま二刀流を続け、投手でも結果を求めるのであれば、登板前日は調整に充てるなど起用法の再考が求められます」
改めて露呈した本人とチームのマイナス
もっとも、1日現在でメジャートップの28本塁打を放っている大谷にとっては初タイトルを狙える絶好の機会。ライバルのブルージェイズ・ゲレーロJr.も好調なだけに、休養して打席数を減らすのは得策ではなく、「好調な打撃を優先すれば、投手としては低迷する可能性はあります」(三井氏)。
リリーフ陣への負担も増大している。今季のエ軍救援陣は、ここまで325回に登板している。これはレイズ(347回3分の1)、オリオールズ(328回3分の1)に次いで3番目の多さだ。ここまで起用した救援投手20人はオリオールズ、ブルージェイズ(23人)、レイズ(22人)に次ぐリーグ4位。この上位3球団は救援投手を試合の最初に登板させるオープナーを多用していることから、エ軍がいかにリリーバーをつぎ込んでいるかがわかる。
前日のヤンキース戦のようにDH制を解除して大谷をリアル二刀流で起用する場合、救援陣への負担は増すばかり。2番手以降で登板する投手には得点機で打席が回れば、代打を送らなければならず、リリーバーの無駄遣いになるケースもある。
「エ軍のリリーフ陣はただでさえ、脆弱です。大谷1人の責任ではないにしろ、先発陣の尻ぬぐいをさせられる救援陣は今後、崩壊状態に陥っても不思議ではありません」(三井氏)
大谷の本塁打王と引き換えにリリーフ陣は多大な犠牲を強いられそうだ。