大谷翔平は満票だったが…メジャーで不可解なMVP選出は過去にごまんとある
11年のナ・リーグMVPライアン・ブラウン(ブルワーズ)はMVPになって3週間が経過した時、大ブーイングにさらされた。薬物検査で筋肉増強剤の成分が見つかり33本塁打、111打点がステロイドパワーの産物であることがバレてしまったのだ。使用を素直に認めてしまえば、50試合出場停止になる。それを何としてでも避けたいブラウンは腕利きの弁護士を雇って無実を主張。それが成功してこの時は逃げ切った。しかし、その13カ月後に常用者であることが発覚し、65試合出場停止になった。
潔かったのが1996年のナ・リーグMVPケン・カミニティ(パドレス)だ。彼は薬物の常用が発覚した際、自らMVP返上を申し出て次点だったピアザ(ドジャース)にその名誉を与えるよう要望。認められなかったが、すがすがしい印象を与えた。ボンズ、ソーサら薬物汚染選手のつくった本塁打記録は現在カッコ付きの記録になっている。彼らはMVPにもなっているので、カッコ付きの最高殊勲選手ということにすれば、ステロイド全盛期の2001~05年の5年間で、カッコが付かないMVPはイチローとゲレロ・シニアだけになってしまう。