日本スポーツ界はやっぱり“政府の犬” JOC山下会長「北京五輪ボイコット」めぐる発言で再露呈
山下氏が会長を務めるJOCが設立されたのは1980年モスクワ五輪のボイコットがきっかけだった。米国がアフガニスタンに侵攻する旧ソ連に抗議するため当時の西側諸国にボイコットを呼びかけ日本も追随。政治に翻弄された多くのアスリートは心に大きな傷を負った。山下会長もそのひとりだった。
JOCは悲劇を繰り返さないため、日本体育協会(現・日本スポーツ協会)から独立し、選手強化費など、独自で財源を確保し、政府の言いなりにならない独立した組織を目指した。しかし、理想とは程遠く、今年の東京五輪にしても、金27個を含む計58個という史上最多のメダルを獲得した裏では、直近の3年間だけでも毎年100億円超の強化費が競技団体などにつぎ込まれている。気前よく巨額の公金を出してくれる政府は、JOCの最大のタニマチといっても過言ではない。
「確かにそうですが……」と国士舘大学非常勤講師でスポーツライターの津田俊樹氏がこう語る。
「外交的ボイコットと選手のボイコットとは別の話です。山下会長は『政府がどんな判断を下そうが、選手は絶対にボイコットしません』と言うべきだった。建前になってはいるが、JOCの使命には、『組織の独立性を保ち、政治的、経済的なものを含め、あらゆる外部からの圧力に対抗する』とある。『何が何でも選手は北京五輪に派遣する』とさえ口にできないほど、政府に気を使っているとすればJOC会長の資格はない」
JOCのトップはお飾りか……。