日体大は箱根駅伝2区間で「たすき」つながらず…体育大学が優勝常連校でない不思議

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「第98回箱根駅伝」は青山学院大学が2年ぶり6度目の総合優勝を果たしたが、上位10校に入った次回のシード権を獲得した大学もいずれも総合大学だ。出場校唯一の体育大学である日体大は、8区から9区の戸塚中継所に続いて、9区から10区で、たすきがつながらなかった。20校中の17位。不思議なのは、駅伝、野球、ラグビー、サッカーと注目スポーツで体育大学がなかなか優勝しないことだ。

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 体育大学は全国に5校ある。私立は日体大、日本女子体育大、東京女子体育大、大阪体育大、そして国立で唯一の鹿屋体育大だ。「大学通信」ゼネラルマネジャーの安田賢治氏が言う。

■学生側にとって体育大を出るメリットが享受しにくくなっている

「どの大学も進路先の中心に中学校保健体育教諭、高等学校保健体育教諭があります。昔から体育大は、スポーツ万能で体育教師になる学生を養成するため、スポーツマネジメントや心理学などを活用し専門性のある教育をしています。しかし、少子化に加え、国の施策としてもグローバル化などに比べて子どもの体力向上に対する教育は薄れています。必然的に体育教師の需要は減っている。なおかつ難関総合大学のスポーツ科の学生と教員試験で競合し、倍率も高くなった。体育大に入っても教師になれない現実があります。ある体育大の関係者から、学生が教員試験の対策のために部活を休まざるを得ない〝本末転倒〟が起きていると聞きました。学生側にとっても、体育大を出たメリットを享受しにくくなったのは、他大に優秀な人材が流出する一因でしょう」

日体大は五輪選手出身ではダントツ

 また、体育大に入って体を壊して競技ができなくなれば学校に居づらくなる。総合大学で経済学部や国際関係学部などに入った方が、将来の選択肢を増やせる。

ラグビーで名門の京産大も、箱根駅伝総合4位の東洋大も、体育学部はありません。注目スポーツは大学の宣伝になりますから、各大学が奨学金や推薦入試でチャンスを広げており、スポーツを続けたい高校生の進路先も多い」(前出の安田賢治氏)

 野球も、体育学部がない明治大などをはじめ、各大学の硬式野球部が高校を卒業する入部希望者を対象に「セレクション」(オーディション)を行い、実力が認められれば「スポーツ推薦合格者」として入学できる。

 ちなみに日体大の20年の就職先は、教員のほか、主に防衛省(自衛隊)、法務省(刑務官)、海上保安庁、皇宮警察本部、警視庁、横浜市消防局など公務員。サービス業や小売・卸業など異業種に就職する学生も多い。

 もっとも、日体大は五輪選手出身大1位。体操の内村航平や村上茉愛、柔道阿部一二三阿部詩各選手らを輩出している。団体競技では、日本体育大学水球部は1974~94年の21年間376連勝でギネス世界記録を持っている。

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