蒼国来はレスリングの癖が抜けず…毎日のぶつかり稽古で矯正した
幸い、ぶつかり稽古で相手が胸を出している時ならば、頭から当たることができた。そこで私は毎日、ひたすらぶつかり稽古をさせました。当時の私はまだ弟子も少なく、彼らと一緒に出稽古に行くことが多かった。そこで出稽古先で、ひたすら相手の胸を借りることに決めたのです。序二段、三段目とどんどん相手のレベルを上げていき、稽古の締めにまたぶつかり稽古という毎日。私も付きっきりで指導をしました。
出稽古が終わり、部屋に戻るとおかみに「気持ち悪いので、ご飯はいりません」と訴えることもしばしばありました。引退するまで「頭から力強く当たる立ち合い」はできないままでしたが、タックルのような立ち合いをしなくなっただけでも成長したと言えます。もし、レスリングの癖が残ったままだったら、蒼国来は三段目で終わっていたでしょう。特に入門したばかりの頃は体重が80キロほど。力はあるのでまわしを取れば強いけど、その前に土俵を割ってしまう。立ち合いが弱い上に軽い蒼国来は、押し相撲にとっては格好のカモだったと思います。
それでも体重が増え出してからは相手の押しにも耐えられるようになり、追い詰められても徳俵を回り込むなど素早い相撲も見せるようになった。