山梨学院高校・吉田洸二監督を直撃! 苦節10年でセンバツV、春夏連覇への意外な思い

公開日: 更新日:

力がないので春夏連覇は狙わない

 ──出会い?

「18年夏の甲子園1回戦で12-14で高知商に負けた直後から、かつて横浜の名参謀として高校野球界で知る人ぞ知る存在だった小倉さんに臨時コーチとして来てもらうようになった。学生コーチだった健人が小倉さんの著書や新聞の連載などを読み漁っていて『こんな人に野球を教わってみたい』と話していたんです。共通の知人が九州の高校で監督をしていて、紹介してもらったのがきっかけ。18年8月から来ていただくようになりました」

 ──チームは変わった?

「小倉さんは野球で起こることの多い順番に練習をやる。試合で三塁にゴロが飛ばないことはあるけど、投手のバント処理や牽制を投げる場面は必ずある。守備の練習時間が圧倒的に長いので、飛躍的にチームの失点が減ったんです」

 ──吉田監督が就任して小倉さんを招聘するまで、山梨学院が甲子園で敗れた試合のスコアは、2-6、2-7、5-12、12-14と失点が多い。

「小倉さんが来てから昨年の夏まで甲子園で4連敗しましたが(2-3、2-3、1-2、1-2)、失点が少なくなって、投手を中心とした守備力が重要とされる秋の大会の勝率が格段に上がりました。今センバツも昨秋の関東大会を優勝して臨んだし、前年も関東大会は準優勝。今大会はエースの林謙吾がよく投げたのもあって(3-1、4-1、7-1、12-3、6-1、7-3)、失点を抑えて勝つことができました」

 ──健人部長が野球を学んだ。

「将来のことを考えて、健人が3年間、小倉さんに密着して勉強してくれた。『小倉ノート』といわれる相手校の詳細な分析も習得してくれたので助かっています。今では健人が全ての練習メニューを考えて指導しています。私は試合の采配やチーム編成を行って、普段はなるべく口を出さないようにして見守る形。多くの方のサポートあっての優勝だと思います」

 ──甲子園春夏連覇の可能性は?

「いや、狙いません! と言ったら語弊がありますが、この春だって優勝できるなんて思っていませんでした。連覇する力なんてありませんから、また甲子園に出られて終われたらそれでいい、と思うようにします(笑)」

(聞き手=増田和史/日刊ゲンダイ

▽吉田洸二(よしだ・こうじ)1969年5月6日、長崎・佐世保市生まれ。佐世保商高で2年夏に県4強。山梨学院大を経て01年から13年まで清峰監督。同校で春夏通算5度甲子園に出場し、06年センバツ準優勝、09年センバツ初優勝。12年はU18世界選手権の日本代表コーチ。13年から山梨学院大付の監督就任。甲子園は春夏で15度出場し通算21勝。教え子は清峰時代に元広島・今村猛、元オリックス・古川秀一、ロッテ・中村稔弥。山梨学院で中日・垣越建伸。

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