「自分で昇進ムードを盛り上げなくちゃ」千代の富士時代から様変わりした稽古総見の意義

公開日: 更新日:

「計画的に休む」「ペース配分」は最近の話

 当時と比べると、霧馬山はアピールしたとも消極的とも言えなかったが、時代の違いもある。

 元横綱武蔵丸の武蔵川親方が対談などでよく「俺たちの時代に『調整』なんて言葉はなかった」と言うように、引退するまでは常に強くなるための稽古、修業であり、初日2日前までみっちり鍛えるのがかつての常識だった。

 実際には微妙に追い込み方の波をつくる力士や、そもそも稽古嫌いの力士もいたが、計画的に休むことなどなかった。ただ、強化や調整に関する知識が広まり、平均年齢が上がって古傷を抱える力士も増えた今、ペース配分を一概に否定できない面はある。

 そうなると、委員の都合で日程が決まる総見でみんながいい稽古を見せろというのは難しいのではないか。その一日を、自分で考えて出稽古などに使いたい力士もいる。

 総見で猛稽古をしたところでメディアが「ガンガン」取り上げる時代でもない。世の中にコロナ前の日常が戻りつつあり、再開してみたら意味や意義がよく分からないことが、あちこちにあるはずだ。相撲界で続いてきたことの中にも。

▽若林哲治(わかばやし・てつじ) 1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。2008年から時事ドットコムでコラム「土俵百景」を連載中。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ系の冬ドラマ「警察もの」2本はありえないお話しすぎてズッコケの連続

  2. 2

    バド渡辺勇大は代表辞退、英の五輪メダリストもアダルトサイトで副収入…世界で共通するアスリートの金銭苦

  3. 3

    元女子アナ青木歌音がTKO木下と「ホテルに連行」事件を巡り対立も…もう一人の"性加害"芸人もヒント拡散で戦々恐々

  4. 4

    旧統一教会信者が都議選に大量出馬情報…自民党に捨てられ、解散命令カウントダウンで断末魔

  5. 5

    「コネ入社は?」にタジタジ…10時間半会見で注目浴びた遠藤龍之介フジ副会長が、社長時代の発言を掘り返される

  1. 6

    TKO木下隆行"元女子アナに性奉仕強制疑惑"で絶体絶命…釈明動画も"ウソつきイメージ"がアダに…

  2. 7

    キムタクがガーシーの“アテンド美女”に手を付けなかったワケ…犬の散歩が日課で不倫とは無縁の日々

  3. 8

    今年のロッテは期待大!“自己チュー” 佐々木朗希が去って《ようやくチームがひとつに》の声

  4. 9

    SNSで話題「コンクリートの建物は造れなくなる」が現実に? コスト大幅増で相見積もりにNO

  5. 10

    生島ヒロシが“一発アウト”なら「パーソナリティー一斉退場」の声も…“不適切画像”送信降板とTBSラジオの現状