豪ノ山登輝の「元大関・出島以上のパワー」は上位力士をも脅かす
豪ノ山登輝(25歳・武隈部屋・前頭13枚目)
アマチュア時代はそこまで名の知れた力士ではなかった。小学校1年時から相撲を始め、相撲強豪校の埼玉栄を経て中央大学に進学。大会でも上位に進出はすれど優勝経験はなく、大学4年の全国学生相撲選手権で準優勝。この成績で三段目100枚目格付け出しの資格を得て、角界入りした。
生まれも育ちも大阪府寝屋川市。これは師匠の武隈親方(元大関豪栄道)と同じで、子どもの頃から同郷の先輩を慕っていた。豪栄道も地元の相撲少年を気にかけており、相思相愛。武隈親方が境川部屋から独立した時も、当然、元大関についていった。
2021年に入門し、新入幕まで足かけ3年。即戦力の大卒力士ということを考慮しても、出世は早いと言っていいだろう。
親方のひとりは「彼ばかりは成績がどう転ぶかわからない」と、こう続ける。
「それというのも、今どき珍しい『一発で持っていく押し相撲』だからです。持ち味は立ち合いの当たりではね飛ばしてからの電車道。同じ押し相撲でも大栄翔のような回転の速い突っ張りとか、貴景勝のように何度も当たって横から突き落とすとかではない。すがすがしいくらいの電車道です。ハマると大勝ちするが、不調だったり迷いが生じて出足が鈍ると、逆の結果になりかねない。豪ノ山のような力士は成績が安定しない一方、大物食いもある。新入幕なので上位陣と当たることはないだろうが、彼らにとってはある意味、一番やりたくない相手ですよ」