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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

「真夏のマラソン」と日本人の「完走の美学」…ひたすらドラマを叫ぶメディアの愚

公開日: 更新日:

 1991年に東京で開かれた世界選手権も暑く、中山竹通は途中棄権して叩かれた。当時の世界選手権は正式には五輪の選考対象でなく、優勝した谷口浩美さえ「別にうれしくなかった」と振り返っている。中山は翌92年のバルセロナ五輪の選考レースを見据えて“美学”を捨て、その後の選考会を経てバルセロナで4位に入った。

 スポーツもオリンピックも普及し変化している。マラソンのゴールは人それぞれで、完走か棄権かは世論調査のごとく「どちらとも言えない」だろう。ただ、テレビも新聞もネットも、変化を否定するように、ひたすら完走の美学を称え、ドラマを叫び続けるのはウンザリだ。

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