著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

韓国で初の公式戦を行う大リーグの思惑…背景に高校球児わずか「約3600人」の惨状

公開日: 更新日:

 日本の場合は高校野球が競技人口を質と量の面で確保しているのに対し、韓国高校野球は2023年6月の時点で94チーム、選手数は約3600人にとどまる。この背景には、1970年代から韓国屈指の人気競技となった高校野球が、1982年のプロリーグの発足とともに注目度を下げ、現在に至るまで人々の関心の度合いが回復していないという現状がある。

 これに加えて、サッカーなど他の種目と同様、高校で行うスポーツはプロや大学に進学するための手段という側面が強く、生徒が参加するための障壁は高い。

 こうした状況は少数精鋭として競技者の質を向上させることにはなっても、誰もが気軽に競技に親しむ機会を狭め、競技の一層の普及を妨げかねない。

 機構の抱く懸念もこの点にあり、韓国での野球の一層の普及を加速させる手段として、初の公式戦の開催に至ったのである。

 もちろん、大リーグの公式戦を行ったからといって野球の競技人口が急激に増加するとは限らない。それでも、アジア地域の重要な市場である韓国で一人でも多く野球に親しむことになれば、機構にとって所期の目的は十分果たせることになるのである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出