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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

ウィンブルドンから世界が見える テニス発祥の地の矜持を保ちつつ、時代に即して変化

公開日: 更新日:

 青々とした芝の上で第137回ウィンブルドン選手権が開催されている。賞金総額5000万ポンド(約100億円)、シングルスの優勝賞金270万ポンド(約5億4000万円)──テニス界最大のイベントだ。

 錦織圭は全盛時、ここは国旗を振っちゃダメなんですねと驚いていた。白を基調としたウエアなど伝統ある大会ならではのルールがあり、かつては記者も上着とネクタイ着用が決まりだった。

 わたしはサンダルを履かざるを得ない事態になり、小首をかしげる入り口の老紳士に「ガウト(痛風)で……」と話すと、「ソー、ソーリー(それはお気の毒に)」と心からいたわってくれた。痛風が世界中に友達をつくることを“聖地”で知った。

 硬式テニスの正式名称は「ローンテニス」、芝の球技だ。いまはハードコートの全米、全豪もそもそもは芝の上で行われた。テニス発祥の地の矜持は厳として保ちつつ、時代に即した変化も取り入れている。

■目を引くイタリア勢の躍進

 開閉式コートが2面できて限定的に夜の試合も行われる。絶対に休んだ中間日曜日も2年前に開催され、記者席にはポロシャツやTシャツ姿が増えた。冷戦崩壊とEU拡大で東欧や南米が台頭し、開放的になったのだ。

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