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田尻一郎元ソフトバンクホークス広報

1967年、福岡県出身。86年ドラフト外で南海ホークスに入団。88年に引退し、98年まで打撃投手。その後は、一軍と二軍のマネジャー、広報などを歴任した。2023年オフに退団。一軍出場なし。

《中村晃の巻》プロ2年目を終えた未来の打撃職人に「ホームランを打て」とあえて注文を出したワケ

公開日: 更新日:

 当時の五十嵐章人二軍打撃守備コーチとはこんな会話もありました。

「田尻さん、新人の晃ですが、僕に外野守備をイチから教えて下さいって来ましたよ」

「え? アイツの売りって高校通算60本塁打の打撃ちゃうの?」

「違うんですよ。最初に僕にかけてきた言葉が『守備を教えて下さい』だったんです」

 五十嵐コーチは「こんなの初めてですよ」と、うれしそうに話していました。

 そんな中村に僕はひとつ、注文を出したことがある。2年目に二軍で打率3割を打った年の納会でのことです。中村は「初めて3割打ちました!」と報告してきたので、僕はこう言いました。

「ひとつ注文していいか? ホームラン打て。今年何本? 0本? おまえが守る一塁や外野はパワーヒッターのポジションや。ヒットを打つ技術があるのは知ってる。でも、ホームランを打てないって相手に思われると、外野はどんどん前に出てくるよ。そうするとヒットも減るよ。大きいのが打てるイメージを少しでもつけないと、将来的に苦しくなるよ」

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