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田尻一郎元ソフトバンクホークス広報

1967年、福岡県出身。86年ドラフト外で南海ホークスに入団。88年に引退し、98年まで打撃投手。その後は、一軍と二軍のマネジャー、広報などを歴任した。2023年オフに退団。一軍出場なし。

《馬原孝浩の巻》守護神抜擢は二軍コーチのファインプレー…勝利の方程式「SBM」ではリーダー格

公開日: 更新日:

 当時、ホークスは通称「SBM」と呼ばれる勝利の方程式がありました。摂津正、ブライアン・ファルケンボーグ、馬原のリリーフ3人の頭文字であり、ソフトバンクモバイルのもじりでもある。この3人のリーダー格だったのが、実は馬原なんです。

 後輩からも慕われており、特に摂津にとっては「プロとはどういうものか」を教わった恩人のような存在です。敬愛する気持ちが強いあまり、こんな“事件”もありました。

 11年の中日との日本シリーズ、最終戦で胴上げ投手になったのは抑えの馬原ではなく、先発転向1年目で14勝を挙げ、優勝に大きく貢献した摂津。秋山監督があえて馬原を使わず、最終回を摂津に託したからでした。

 しかし、日本一が決まっても摂津はニコリともせず、試合後はテレビ局の取材を「出たくない」と拒否。口を閉ざす摂津に、僕は「俺さ、神様じゃないけん、何でもわかるわけじゃない。せめて、なんでダメなのか教えてくれ」と言いました。

 すると摂津は「あそこは僕が投げる場面じゃなかった。日本一でも、今はそういう気分になれません」と胸の内を吐露。つまり、尊敬する馬原の役割を奪ってしまったことに納得いかず、思い悩んでいたのです。

 そこで「先発・摂津としてなら話すが、胴上げ投手・摂津としてはしゃべらない」と提案、テレビ局の幹事に連絡をしました。その幹事も即座に「それでいきましょう」と快諾したのだから、この決断もなかなか凄い。

 この流れで次回は摂津の話をしましょう。

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