《摂津正の巻》監督とコーチの意見が対立した先発転向…突然水を向けられて、たまったものじゃなかった
摂津正
先発からリリーフに転向して成功する投手はそれなりにいますが、逆はなかなか難しい。それを成し遂げたのが摂津正(42)です。
1年目の2009年から70、71試合に登板し、2年連続で最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。先発転向1年目の11年にいきなり14勝(8敗)を挙げると、12年は17勝(5敗)で最多勝と最優秀投手、沢村賞のタイトルを手にしました。
ただ、先発転向はすんなり決まったわけではありません。当時、摂津は腰を痛めていたこともあり、毎日ブルペンで投球練習をする中継ぎは負担が大きい。そこで高山郁夫投手コーチが先発に回すことを進言しました。
一方、秋山幸二監督は先発転向に反対。監督は戦力をやりくりしてチームを勝利に導くことが役目です。すでに中継ぎとして実績のある摂津の配置を動かしたくなかった。
どちらも正論だからこそ、なかなか意見がまとまらない。秋山監督が「先発なら、誰か他に出てくるんじゃないか」と言えば、高山コーチは「そうそう出てきませんよ」と言う。僕がたまたま監督室にいたある時、2人が摂津の起用について話し始め、「一郎、おまえはどう思う?」と聞かれたものだから、たまったものじゃありません。